貴金属相続で「相続税」は発生する?~基礎知識と税額の求め方~

手元に置いておける資産として、人気を集めている各種貴金属。貴金属投資を行っている方の中には、「自宅でインゴットを保管している」なんてケースも少なくありません。

とはいえ、こうした貴金属の所有者が亡くなったとき、発生するのが「相続」に関する問題です。金をはじめとする貴重な貴金属を相続するときに、トラブルになりやすいのが「相続税」についてでしょう。

貴金属の相続にまつわる税金の種類と、税金の額が具体的にどのように決まるのか、わかりやすく解説していきます。

貴金属の相続には、「相続税がかかる」

身近な人が亡くなったとき、その持ち物は全て相続人が受け継ぐことになります。相続の対象となる品物は多岐にわたり、家や土地などの不動産のほか、日常的なこまごまとした品物も含まれています。

相続時にチェックするポイント

このように、誰かが亡くなり相続が発生した際には、「相続税がかかるもの」と「かからないもの」に分類されます。貴金属は、「相続税がかかるもの」に含まれますから、実際に相続する際には注意が必要です。

税務署の調査

「自宅の押し入れから、父が所有していた金地金が発見された」というケースでは、「このまま所有し続けても、バレないのでは?」なんて思うこともあるかもしれません。しかし実際には、税務署は相続に関してさまざまな調査を行っています。

相続税を支払いたくないために申告をしなかったり、相続を隠したまま保有し続けたりすると、重い罰則を受けることになりますから、充分に注意しましょう。

貴金属の相続税、納税額決定までの3つのポイント

金をはじめとする貴金属の相続と税金の関連性について、もっとも気になるのが「いったいいくら税金がかかるの?」という点です。これには、相続税の計算方法が深く関わってきます。貴金属を相続した際に納税額が決定するポイントを3つ紹介します。

相続税の税額は、遺産の総額で決まる

貴金属の相続時に気になる「相続税」についてですが、相続税とは、貴金属のみに課税されるものではありません。そのほかのすべての相続物の合計金額で、課税されるかどうか、またその金額が決まってきます。

貴金属にばかりに目を向けがちですが、家や土地など、そのほかの相続財産が多ければ、「たった100万円分」の貴金属であっても、相続税の加算対象となります。それぞれの評価額については、遺産相続に詳しい専門家に相談すると安心です。

また貴金属については、もともと所有していた方が亡くなった時点での評価額が使われます。

法定相続人の数も重要

相続税は、多くの財産を所有している方に課税されるもの。たとえ相続するものの中に貴金属が含まれていたとしても、相続する財産の合計金額が一定ラインを超えていなければ、税金を支払う必要はありません。

相続税を支払わなくてはいけないかどうかは、以下の計算式から判断できます。

【遺産総額】-【3,000万円+600万円×法定相続人の数】

こちらの式で求められるのは、遺産に関わる基礎控除額です。この計算式に当てはめた結果がゼロ以下であれば、どれだけ大量の金を相続したとしても、相続税がかかることはありません。

法定相続人の数は多ければ多いほど、税金の金額は少なくなります。

基礎控除額を超えた分に課税される

最後のポイントは、相続税が加算されるのは、「遺産のすべて」に対してではなく、「遺産のすべてから基礎控除額を引いた分」に対してです。控除したのちにどの程度の財産が残るのかによって、税率は変わってきます。

もっとも低いもので「10%」、財産が多ければ「55%」にも上りますから、注意する必要があります。

素朴な疑問…金は相続税対策になるのか

「金」と「相続」について、「税金対策として金製品を購入する」という手法を耳にした経験はありませんか?しかし実際には、金製品にも相続税は加算されてしまいますから、あまり意味のない対策となっています。

金を使った相続税対策として有名なのは、相続税が加算されない「仏具」や「仏像」を金で作り、家族に受け継ぐというもの。金塊を加工してこれらの製品を作れば、確かに非課税で多くの財産を家族のために残せるような気もします。

実際には課税対象

しかし実際には、普段から祭祀の対象としてない場合には、仏具や仏像であっても相続税の加算の対象になってしまうので、注意が必要です。税金対策としては、働かないというのが実情なのです。

とはいえ、家や土地などの不動産と比較すると、小分けにもできる貴金属は遺産分割で揉めないための対策方法として人気があります。現金や株などと比較して、価値が安定していて長期保有に向いているという点でも、「上手な相続を実現するためのアイテム」として、金は働いてくれることでしょう。

売却時にも税金がかかる可能性がある

相続と貴金属に関して、もう一つ覚えておかなければならない税金があります。相続した金やプラチナを売却しようとしたときには、所得税がかかります。遺産相続で得た貴金属を非継続的に売却しようとした場合には、買取で得たお金は「譲渡所得」にあたります。

譲渡所得の課税

この譲渡所得では、「収入金額-購入時経費-特別控除50万円」で求められた数字がプラスになったときに税金が発生します。

多くの金・プラチナなどを相続した際には、相続税だけではなく所得税にも目を向ける必要があります。

遺産の受け取り前に知っておきたい相続税

貴金属の中でも特に「金」は、安定性が高く長期保有に向いている資産として人気を集めています。このため、家族間で相続される可能性も高いと言えるでしょう。

相続そのもの、そして遺産として受け取った貴金属を売却するときには、状況に応じた税金が加算される可能性があります。知識を身につけないままでいると、思わぬトラブルに巻き込まれてしまう可能性もありますから、予備知識だけでもしっかりと身につけておいてください。